天王寺動物園（大阪市天王寺区茶臼山町）で3月25日、アジアゾウの春子（雌、推定64歳）に名付け親の関智惠子さんが好物のスイカとバナナを贈った。

好物のバナナを食べるアジアゾウ「春子」

　1950（昭和25）年4月14日にタイ王国から来園した春子。当時、毎日小学生新聞が実施した名前の公募で、一番応募で多かったのが季節にちなんだ「春子」の名前だった。884人の中から当時生野小学校4年生だった関（旧姓・丹川）さんが当選して名付け親になった。

　春子はアジアゾウでは、日本で井の頭自然文化園（東京都武蔵野市）のはな子（雌、推定66歳）に次ぐ長寿で、1カ所で飼育されている最年長記録になる。春子が入園した日は大阪港からトラックで運ぶ沿道が迎える人で大混雑し、市電もストップしたという。入園した翌々日は有料入場者数が6万人を超え、この記録が同園の最多入場記録。

　関さんは、ニュースで春子が白内障を負っていることを知り、ここ数年は気がかりになり、毎年敬老の日のイベントなどで同園に訪れるようになった。今回は昨年、関さんが「おいしいものを食べて長生きしてほしい」と同園に申し入れて実現した。

　当日は、スイカを持つ関さんが春子に「スイカですよ」と呼び掛け、スイカとバナナが飼育スタッフから春子に贈られた。春子はスイカとバナナをすぐにたいらげ、見物客からは拍手が送られた。飼育スタッフからは「右目が老人性白内障になっている。たくさん食べるが、体重は減ってきている」などの説明を行った。春子が入園したときに当時6歳で、関さんが春子の上に乗ったのを見たと言う女性の姿もあった。

　関さんは「秋に会った以来やけど、よく動くし元気そう」と話し、「お互い年だし、これからはどちらが長生きするか競争」とほほ笑んだ。