天王寺動物園(大阪市天王寺区)で6月11日、ホッキョクグマのバフィン(雌、24歳)とモモ(雌、1歳)が見られる最後の日を迎えた。
バフィンは2011年に浜松市動物園から、繁殖目的で動物を貸し借りするブリーディングローンで来園。現在は天王寺動物園からブリーディングローンでアドベンチャーワールド(和歌山県)に貸し出している「ゴーゴ」(雄、11歳)との間に2014年11月、待望していた赤ちゃんの「モモ」が生まれた。繁殖が難しいホッキョクグマの赤ちゃんが生まれたこともあり、多くの人が目当てに訪れる人気者となった。バフィンとモモは、所有権のある浜松市動物園へ6月13日(同園の休園日)に移動する予定。今月4日にはお別れイベントも開いた。
13日に移動することから最後の展示となったこの日、同園には2頭の姿を見ようと多くの人が訪れた。モモがプールに度々飛び込むなど、普段通りの元気な姿を見せた。2頭が寝室に帰るときは、お別れイベントで飼育員の下村幸治さんが「気付かせないように静かに送り出してほしい」と話していたこともあり、来園客は静かに見守った。2頭が見えなくなると涙を流す人もいた。
下村さんは「バフィンとモモ、天王寺動物園の外での暮らしは今日で終わりました。皆さんがいつも通りの笑顔で見送ってくれてありがとうございます。バフィンがお母さんになってこの日を迎えたことは寂しいが奇跡だと思っている。チーム一丸となって浜松に送り出したい」と来園者に向けて話した。
お別れイベントの際にプレゼントのおもちゃなどをファンと共に用意した同園近くの「ギャラリーカフェ*Kirin*」(浪速区)のオーナーのとうしばやすこさんは「モモが生まれてからずっと見守ってきた。皆さんに明るく静かに見送られて良かった。大阪のファンも応援しに行くと思うけど、浜松の人にもかわいがってもらえたら」と期待を寄せる。
同園のホッキョクグマはバフィンとモモが出園すると、ゴーゴが帰るまでは2015年に蓬莱(浪速区)が寄贈してロシアから来園した「イッちゃん」(雌、2歳)の1頭となる。