通天閣(大阪市浪速区)で5月1日、これまで通天閣を支えてきた支柱(4本)の最後の1本が切り離され、昨年10月からの免震改修工事を終了した。
同タワーを運営する通天閣観光(同)は昨年、「Next210(ツーテン)プロジェクト」と題して初代通天閣(1944年に解体)が建てられた1912(明治45)年から210年後に向け、登録有形文化財としての価値を維持していくことを目的に免震改修工事を決断した。大阪大学大学院・工学研究科の宮本裕司教授らによる耐震計測によると、巨大地震の発生で鉄骨が変形する恐れがあることが判明したという。
今回の工事では、4本の支柱を切断して免震ゴムを組み入れ、鉄骨梁で補強した。震度7クラスの直下型地震にも耐えられるという。総工費は約6億円。工事を請け負った竹中工務店(中央区)によると、「全て調べられないので世界初とは言えないが、展望タワーでは世界でも類を見ない免震改修工事」という。
当日は、通天閣観光の西上雅章社長が最後の支柱をハンマーでカットして切り離した。西上社長は「次世代の人たちに安心してもらえれば」と話した。
初代通天閣の天上に広告を掲出していた化粧品メーカー「クラブコスメチックス(当時は中山太陽堂)」(西区)が天上画を寄贈し、7月3日の完成を予定する。