通天閣前の新世界会館(大阪市浪速区恵美須東1)で8月4日、新世界を舞台にした映画を上映する「新世界映画祭」(2日目)が開催され、映画監督の阪本順治さんらがトークショーも行った。
同祭は、阪本監督のデビュー作で赤井英和さんが主演した映画「どついたるねん」を見たのがきっかけで岡山から大阪に出てきて通天閣に勤務したことのある安福奈津子さんらが、同所がかって映画館が多く存在した「映画の街」だったことを知ってもらいたいなどの思いで企画した。
阪本監督は堺市出身で、「どついたるねん」「王手」「ビリケン」と同所を舞台にした「新世界三部作」を手掛けた。新作は10月19日公開予定で佐藤浩市さん主演の「人類資金」。
当日は、「どついたるねん」、これまであまり上映されていない故・原田芳雄さんが新世界を練り歩き街の人にインタビューするドキュメンタリータッチの短編映画「新世界」、武田倫和監督が手掛けた新世界のお好み焼き店「千両」のおかまママ・ひろ子さんが半生を語ったドキュメンタリー「きばりゃんせ」を上映。定員50人の会場は満席となった。
トークショーでは、阪本監督・武田監督・ひろ子さん・安福さんが新世界での思い出などを話し合った。阪本監督は「生まれは堺だが監督としてはここが生まれた場所。どんな無理難題言ってもノーと言われなかった。エピソードだらけの街で人情とかを超えたものがある」と話し、ひろ子さん・安福さんからは阪本監督に「もう一回新世界の映画を撮ってほしい」と期待が寄せられた。
トークショー後、阪本監督は「(観光地になってにぎわう新世界が)このまま繁栄し続けるのか、静かな街に戻るのはわからないが、映画を中心に考えると撮りにくい街なった。僕の学生時代には大阪の観光ポスターに通天閣は使われてなかった。今は大阪のシンボルに通天閣がなっている復権はうれしい」と話す。
安福さんは「無事に終わってほっとした。阪本監督が新世界のことを話して感動した」と話し、通天閣に勤務していたときにインタビュー相手として映画「新世界」に出演して「映画の中で映画監督になりたい言っていることで、無理かなと思っていたけどあらためて撮りたいと思った」とも。