飛田新地にある元遊郭の料亭「鯛(たい)よし百番」(大阪市西成区山王3)で8月1日、「夏休み親子見学会」が行われた。
「鯛よし百番」は大正時代に建てられた遊郭で、当時の遊廓建築を今日に伝える貴重な近代和風建築として知られ、国の登録有形文化財に指定されている。建物内は日光東照宮・陽明門を模した応接間、住吉大社の反橋を模した通路、桃山風意匠の大広間、洋風のオランダの間など、さまざまな要素が取り入れられたきらびやか内装が特徴。
親子見学会は、同店の保存・修復プロジェクトに取り組んでいる「MICRO HERITAGE」(事業主体:サミット不動産、CR-ASSIST)が、人気アニメ「鬼滅の刃」の続編「遊郭編」が今年秋に始まることで、遊廓のことや地域の歴史を学んでほしいと、同店から近い大阪市立金塚小学校(阿倍野区)の児童と保護者を対象に企画した。
当日は親子約30人が参加し、途中から児童にはクイズ大会、保護者には遊郭についてのレクチャーも行った。女児(11)は「部屋によってイメージが変わり、西洋風だったり、日本風だったり、飾り付けが豪華だったので楽しめた」と振り返った。
同店は建物の基礎、外装、内装が大きく劣化していることから、保存・修復を目的としたクラウドファンディングを8月10日まで実施している。
MICRO HERITAGEの杉浦正彦さんは「地域の大事な遺産である『鯛よし百番』が、地域の方々の理解がないと駄目だと、理解を深めてもらいたくて見学会を開いた」と話す。「子どもたちがきらびやかな内装に興味を持っていただいて良かった」とも。