新世界のシンボルタワー「通天閣」(大阪市浪速区)が10月28日で開業60周年を迎え、同日、記念セレモニーを開いた。
現在の通天閣は2代目で1956(昭和31)年に開業。1912(明治45)年に完成した初代通天閣は1943(昭和18)年に隣接の映画館の火事で延焼し、戦争中の金属献納運動が盛んだったころだったこともあり解体された。それから約10年後、新世界の商店主らが「やっぱり通天閣がないとあかん」と出資を募って再建された。
通天閣の入場者数は、開業の翌年1957(昭和32)年には155万人に達するなど開業当初はにぎわっていたが、1975(昭和50)年に20万人足らずになるなど長らく低迷気味だった。新世界かいわいを舞台にしたNHK連続テレビ小説「ふたりっ子」が1996年に放映されたころから観光客が増え、2012年度は53年ぶりに来場者が130万人を超えた。2015年度の来場者は約112万人。現在も外国人観光客が増え、にぎわいを見せている。
60周年記念事業の一環で10月1日、頂上部の避雷針を3メートルから8メートルに変更し、棟全体の高さが5メートル伸び108メートルになった。2015年12月には、これまで一般に開放していなかった屋上に特別展望台「天望パラダイス」を開設した。
通天閣を運営する通天閣観光と広告スポンサーの日立製作所は、通天閣と新世界の60年の変遷を紹介するアプリを12月10日(予定)に配信開始すると発表。1月10日には、VR(仮想現実)機能を搭載したコンテンツを追加配信する予定。現在改装工事中で消灯しているネオン広告は来年2月10日に再点灯するとも発表した。
当日は営業前に展望台で、通天閣の「還暦」に合わせて赤いちゃんちゃんこ姿となった幸福の神様ビリケンさんの前でくす玉を割るなどの記念セレモニーが開かれ、通天閣観光の西上雅章社長は「まさに還暦を迎えることができました。原点に立ち返ってこれからも大阪のシンボルとして頑張っていきたい」とあいさつした。