
大阪歴史博物館では開館以来、大阪を中心とする地域の歴史と文化を広く市民に紹介し、理解を深めていただくことを事業運営の基本方針としています。この基本方針に沿った資料の収集は博物館活動の根幹でもあり、当館では毎年、市民の皆様からご寄贈いただいたさまざまな資料を保管し、研究や展示等に活用しています。
今回の展示では、令和6年度に新たに館蔵品となった多くのご寄贈品から、未公開のものを中心に、約25件をご紹介します。
(1) 染織見本帖(せんしょくみほんちょう)
大正時代 大阪歴史博物館蔵(河崎晋也氏寄贈)

日本製の裂(きれ)見本とオランダのHELMOND社で1927年以前に製作された裂見本で、合計98冊の中に700点を超える見本裂が綴り込まれています。ほとんどが木綿布への捺染(なっせん)プリントで、木綿布を多用するアジア地域向けの輸出裂見本であった可能性が高いものです。写真の部分は、もとは男児の祝着などのためのデザインだったのでしょうか、兜や印籠などがプリントされています。
※会期中に、同じ絵柄の色違いの部分に入れ替える場合があります。
(2) 梅に羊歯文蒔絵提重(うめにしだもん まきえさげじゅう)
江戸時代後期~大正時代 大阪歴史博物館蔵(小岸昌弘氏寄贈)

提重は、戸外での宴席に用いる携帯用の重箱です。蒔絵で梅花と羊歯の文様を施し、重箱、銘々皿、脚付膳、酒筒を収めます。梅・羊歯は、ともに春を寿(ことほ)ぐ瑞祥(ずいしょう)の草花であり、寄贈者の祖母、もしくはその上の代の者が花見で使用していたものといいます。花見の源流はハルゴト(田植え前にサクラを囲み供食する年中行事)であり、当時の花見のあり方をいまに伝えるものともいえます。
(3) 聖護院宮御令旨箱(しょうごいんのみやごりょうじばこ)と大坂金剛院歓道宛令旨(こんごういんかんどうあてりょうじ)
江戸時代後期 大阪歴史博物館蔵(高津豊氏寄贈)

高津氏寄贈資料は、南瓦屋町四丁目(現大阪市中央区瓦屋町)にあった聖護院御用所にかかわる古文書が多数を占めます。本山派修験(しゅげん)の総本山である聖護院は、安政6(1859)年、大峯山(おおみねさん)奥駈道(おくがけみち)の諸堂社修復費用を調達する拠点として大坂に御用所を設けました。高津安之助は、自身も修験として金剛院歓道と名乗り、大坂市中に居住する修験の組頭を務め、大坂とその周辺で活動する修験や講の申請を取り次ぎました。写真の資料は、聖護院宮からの通達とそれを収めた箱で、これらを含む修験の大坂での活動を知りうる貴重な資料群です。

取材をご希望の場合は、事前に下記担当までご連絡ください。
(連絡先)大阪歴史博物館 企画広報課 企画広報係
電話 06-6946-5728 ファックス 06-6946-2662