新世界のシンボル・通天閣(大阪市浪速区恵美須東1)が5月8日、地下の劇場「スタジオ210」で寄席と歌謡ショーを催している松竹芸能の賃貸借契約の終了で6月末に劇場の閉鎖を検討していることがわかった。
同劇場は現在、松竹芸能が毎週土曜・日曜に漫才・落語などの寄席「通天閣劇場TENGEKI」、月曜にNHK連続ドラマ小説「ふたりっ子」に登場するオーロラ輝子のモデルになった歌手・叶麗子さんなどが出演する「通天閣歌謡劇場」を開いているほか、月1回の割合で新世界在住の歌手・大西ユカリさんのライブが行われている。それ以外の日は貸し出しも行っているが利用されていないことが多い。
スタジオ210は面積約860平方メートル。現在の通天閣が再建された1956(昭和31)年当初は大阪市が「ユース・センター」として使用。1968(昭和43)年~1973(昭和48)年はフィッシュセンター(水族館)、1976(昭和51)年~2001年は通天閣囲碁将棋センター(1989年から縮小)として使用。通天閣歌謡劇場は1989年から土曜・日曜に開催していたが2008年から「TENGEKI」に変わり、歌謡劇場は月曜に行ってきた。
松竹芸能との契約は6月末まで。2月には道頓堀の角座跡に劇場などの複合施設「道頓堀角座」を7月末にオープンすることを発表していた。
地下は7月~8月にお化け屋敷を催し、9月から約2カ月間は、昨年から予定していた補強工事を行う予定。以降の使用については未定になっている。
通天閣を運営する通天閣観光の西上雅章社長は「松竹芸能から歌謡劇場だけは工事を終わった後に週2回使わせてほしいと打診を受けているが、残り週5回空くのが厳しいと言った。返答をもらう予定」と話す。「(一部報道のあった)飲食店の誘致は考えていない。できれば多目的ホールとして講演会やライブなどを自社でプロデュースできればいいが、自社では運営するノウハウがない。劇場を存続するかどうかはまだ何も決定していない。通天閣を日本一面白い塔にしたいので寄席などで年間300日くらい使ってもらうのが希望だが、難しいと思う。情報発信の拠点として何か有効活用したい」とも。