今年7月3日に100周年を迎える通天閣(大阪市浪速区恵美須東1)を運営する通天閣観光(同)に6月12日、これまで1枚の写真も発見されて来なかった「初代ビリケンさん」の像が写っていると思われる絵はがきが届けられた。
ビリケンさんは、1908(明治41)年にアメリカの女性芸術家が夢で見た神様がモデル。初代の像は100年前に通天閣(初代)と共に開業した新世界の基になる遊園地「ルナパーク」に置かれ、名物として親しまれたが、閉園の際に行方不明になったといわれている。
ルナパークや初代通天閣の様子を伝える写真は多く残っているが、初代ビリケンさんの写真は同塔などに残っておらず、新世界の商店主が写真を探すなどの活動がメディアに取り上げられてきた。
絵はがきは大正時代に撮影されたとみられ、写真の下には「(大阪名勝)新世界通天閣脚下兵頭繪葉書店」との一文が添えられている。絵はがき店の前で足の裏を見せるビリケンさんが写り込んでいる。
「初代」が写っていると思われる絵はがきを届けたのは大阪在住の男性。同社の西上雅章社長によると、「(男性が)テレビ番組を見て初代ビリケンさんの写真がないことを知って届けてくれた。絵はがきの年代が合っているのと絵はがき店があったことは文献にも書かれている。真偽は定かではないが、新しい情報が入るきっかけになれば」と期待を寄せる。そのほか、同じ年代のビリケンさんのイラストが描かれた絵はがきも持ち込まれた。展望台で展示(複写したもの)するという。
同塔は1980(昭和55)年、ビリケンさん(2代目)を復活させた。今年5月、新調したビリケンさん(3代目)と交代したばかり。足の裏をかくとご利益があるといわれ、観光客が多く訪れる。