株式会社タケダ造園(島根県出雲市、代表取締役:竹田和彦)は、出雲に伝わる独自の庭園文化「出雲流庭園」を基にした組立式日本庭園「楽庭-RAKUTEI-」を開発し、フランス・パリへの輸出・国際展開に向けた取り組みを開始した。

組立式日本庭園「楽庭」
この挑戦は、インバウンドランキング最下位に位置していた島根県から、日本文化の新たな形を世界に発信するものである。
そしてこの挑戦の意義と可能性を広く伝えるべく、7月29日(火)に大阪南港でシンポジウムを開催する。シンポジウムでは、日本文化、ブランディング、観光、華道、経営の専門家によるパネルディスカッションを行い、日本文化の海外発信、その可能性と未来を探る。

観光庁によるインバウンド人気ランキングで、長年最下位圏にあった島根県。地方の魅力がまだまだ世界に知られていない中、「庭園」という文化資産に可能性を見出す。
出雲市に本拠を構えるタケダ造園は、創業以来40年、地域に根差した庭づくりを手掛けてきた企業である。二代目である現代表は、日本庭園の持つ力を再認識し、島根・出雲が誇る文化とともに、世界へ届ける構想を立ち上げた。
タケダ造園が特に注目したのは、出雲地方に独自に伝わる「出雲流庭園」である。この庭園群は、なんと2000件以上の民家において、石や植栽の配置がほぼ共通した様式を保ち続けており、全国的に見ても極めて珍しい文化現象となっている。
この一見静かな民家の庭に秘められた規則性と調和の美は、長年地域に根差して営まれてきた「暮らしと庭」の密接な関係を物語るものである。そしてそのルーツを辿ると、江戸時代に松江藩を治めた大名茶人・松平不昧(ふまい)公の美意識と文化政策に行きつく。
不昧公は、茶の湯をはじめ、和菓子、茶器、書画、そして庭園にいたるまで、日本文化の総合芸術としての茶道の精神を貫いた人物である。彼の思想は、藩士や町人、農民にまで浸透し、庭園様式として民間に広がった。その名残が現在も出雲地方の庭園に息づいている。
庭園とは、単なる景観ではない。そこには時代の哲学や信仰、もてなしの心が凝縮されている。タケダ造園では、この「出雲流庭園」の精神性と歴史的価値に着目し、日本庭園を通じて日本の伝統文化を世界へ発信する取り組みを始めている。
2025年7月、代表自らがフランス・パリを訪問し、現地の住宅関係者、美術関係者、文化施設運営者へのヒアリングを実施。その結果、日本庭園に対する強いニーズが確認され、実際に複数の導入候補地との協議も始まっている。
特に、茶道・華道と連動した文化イベントや、精神的な安らぎを提供する空間としてのニーズが高く、「いま、日本庭園は求められている」と強く実感した。


今回のシンポジウムでは、日本文化をどのように世界に届けるかという実践的な視点だけでなく、
“見立て”という日本独自の感性価値表現に注目し、学術的観点からその評価・表現方法のあり方も検証する。
「庭園のどのような要素が“文化的価値”として捉えられるのか」
「“見立て”という感性表現は、国際的な文脈でどう理解されるのか」
――といった問いをもとに、文化・建築・観光・ビジネスの各分野の専門家がディスカッションを展開。
単なる商業輸出ではなく、
“文化の意味”を可視化しながら、未来へ継承していく方法論の探究を目指す。
コーディネーター
勝瀬典雄
関西学院大学専門職大学院兼任講師
公的機関の経営に関する専門家として全国各地の企業の経営支援を担当してきた経験を元に、生産者の連携組織等による販売の仕組み構築などの支援を行うと共に、関西学院大学専門職大学院兼任講師を担当、人材教育の仕組みから実際の経営改革の支援を行っている。また、公的支援補助制度の活用戦略なども数多く支援している。
パネルメンバー
相島淑美(基調講演講師)
神戸学院大学教授
日本経済新聞社東京本社編集局記者をへて、慶應義塾大学大学院文学研究科でアメリカ文学・文化を専攻。同大学院博士課程単位取得退学後、清泉女子大学英文科教員となる。のち関西学院大学大学院でMBAおよび博士号(先端マネジメント)を取得。学位請求論文のテーマは「おもてなしの起源と展開」。
パネルメンバー
徳持拓也
一般財団法人池坊華道会 事業部長 兼 東京事務所長
華道家元池坊 正教授 1972年生まれ。 日本各地でいけばなの展覧会やイベントの企画運営、映画ドラマのいけばなコーディネートなど幅広い華道文化の普及活動を行う。いけばな、という古典文化の本質を守りつつ現代にアップデートしている。斬新なイノベーションと海外展開を成功させている立役者である。
パネルメンバー
竹延幸雄
株式会社KMユナイテッド 代表取締役社長
株式会社竹延オーナー
大手鉄鋼メーカーでの人事、広告会社での営業を経て、2003年に妻の実家である塗装会社の竹延に入社。 「職人の後継者がいない」という大問題を突破するため、2013年職人育成会社のKMユナイテッドを起業し社長就任。 同社における女性職人の育成などは広く注目を集めると同時に、スマホを使った職人支援プラットフォームや塗装ロボットの開発にも取り組む。現在、現場監督のノンコア業務に鉱脈を見出し、生産性が低迷する建設業を皮切りにモノづくり産業へ波及させる成功の共有化”シェアードサクセス”が一気に開花。業績を前年比約1.5倍ペースで拡大している。
日本の文化(建築)を守る職人がいないという社会的問題を、今日的なツール(スマホ、ロボット開発)をフル活用して解決してきた。圧倒的な行動力の持ち主であり、影響力は絶大。
パネルメンバー
森 一彦
京都先端科学大学院国際学術研究院教授
慶応大学文学部英米文学卒業、株式会社大広でマーケティングやコミュニケーション活動の企画実施、1993年東京大学大学院 人文社会系研究科 情報学専攻修士課程修了、その後、大広ブランドデザインにてブランディング・コンサルティングに従事。2014年より関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科教授を経て、ブランディング、広告が専門。感性や社会的意義からブランディングを説き起こしている。
パネルメンバー
山川拓也
流通科学大学人間社会学部観光学科准教授
欧州での海外駐在を含む21年間の旅行業界勤務を経て、2016年から大学教員。専門は観光・マーケティング。観光のスペシャリスト。
今回の挑戦は、出雲の文化をヨーロッパに発信する第一歩であると同時に、地方発・日本文化輸出の新たなモデルケースとなることを目指している。
将来的には、同じ志を持つ全国の造園業者とも連携し、日本各地の地域性を活かした庭園を世界へ届けるネットワークを構築したいと考えている。
日時:2025年7月29日(火)13:00~16:00
場所:大阪南港 ATCビル ITM棟9階 セミナールーム(オンライン同時開催)
参加費:2,000円(資料代)
申込締切:7月28日(月)
主催:日本感性工学会 感性価値創造研究部会
共催:株式会社タケダ造園
後援:島根県、出雲市、出雲流庭園保存会、一般社団法人未来を創る新教育推進会
【プログラム】
■ 第1部:基調講演「おもてなしと『見立て』~日本文化における価値共創~」
講師:相島淑美(神戸学院大学 教授)
■ 第2部:事例発表「日本庭園美術と伝統文化を海外に届ける」
発表者:竹田和彦(株式会社タケダ造園 代表/樹木医)
■ 第3部:パネルディスカッション「日本の伝統文化を海外に届ける」
コーディネータ:
勝瀬典雄 関西学院大学専門職大学院兼任講師
パネルメンバー:
相島淑美 神戸学院大学教授
竹田和彦 (株)タケダ造園代表取締役
竹延幸雄 (株)KMユナイテッド 代表取締役社長・Founder&CEO (株)竹延オーナー
徳持拓也 一般財団法人池坊華道会事業部長兼東京事務所長 華道家元池坊正教授
森 一彦 京都先端科学大学院国際学術研究院教授
山川拓也 流通科学大学人間社会学部観光学科准教授
お申込みはこちらから
d101665-5-d60584693b7460deb2bb7debe333e045.pdf株式会社タケダ造園
TEL:0853-28-8282
Mail:rakutei@takezofarm.co.jp
HP:
https://rakutei-japan.com/